人はなぜ戦うのか
考古学から見た戦争
書名:人はなぜ戦うのか 考古学から見た戦争
著者:松木武彦
発行:2001年05月10日 第1刷発行
出版社:株式会社 講談社
ISBN:4-06-258213-9
価格:1700円(税別)
備考:講談社選書メチエ213
◎解説
縄文時代にはなかった戦争が、弥生時代、「先進文化」として到来した。食料をめぐるムラ同士の争いは、いかに組織化され、強大な「軍事力」となるのか。傷ついた人骨・副葬武器・巨大古墳など、膨大な発掘資料をもとに列島の戦いのあとを読み解き、戦争発展のメカニズムに迫る。
◎目次
第一章 戦争の根元をさぐる
1 闘争本能と戦争
アインシュタインとフロイトの往復書簡から
破壊は本能的欲求?
闘争本能説その後
個人の攻撃本能と戦争は別もの
戦争研究における考古学の役割
2 戦争はいつはじまったか
戦いの考古学的証拠
農耕社会と戦争
農耕社会のもろさ
なぜ戦争は農耕社会に多いか
3 戦争はなぜ起きるのか
戦争を拒んだ縄文人?
戦争発動における「思想」の役割
戦争をめぐる二つの視点
第二章 戦士の誕生--弥生時代の戦い
1 日本列島での戦いのはじまり
列島最古の武器は朝鮮半島から渡ってきた
「戦いの思考」の伝来
渡来人と縄文人は戦ったか?
ひろがりゆく戦い
弥生時代の第一期抗争
2 激化する戦い
九州北部の戦死者たち
近畿の戦死者たち
だれとだれが戦ったか?
近畿どうしの戦い
強い集落、弱い集落
戦いが新秩序をもたらした
クニグニの誕生
各地のクニグニ
3 弥生の戦いを復元する
戦いの参加者と規模
戦術と組織
戦闘シーンを再現する
4 「思想」化する戦い
使うための武器、見るための武器
短剣が選ばれた理由
戦いのまつり
戦いをたたえる「思想」の誕生
第三章 英雄たちの時代--弥生から古墳へ
1 「プレ古代」としての「英雄時代」
ホメーロスが描いた英雄の世界
ヤマトタケルと古墳
英雄割拠の時代としての古墳時代
英雄はなぜたたえられるのか
英雄はシンボル
「むき出しの武力支配」一元論から脱却する
2 武装の革新--短剣・大刀・銅鏃
鉄製短剣の普及
大刀の登場
銅鏃の流行
優れた性能のものを大量に
武器と戦闘技術の革新
3 渡海する倭人たち--朝鮮半島鉄を求めて
中国文物へのあこがれ
「倭国乱る」
朝鮮半島へ渡る倭人
倭人と鉄
戦いの背景
鉄が新たな社会変動を引きおこした
4 英雄登場
英雄像の原点
武器副葬のひろがり
戦闘リーダーたちの大墳丘墓
「倭国乱る」の主人公たち
東日本の戦闘リーダー
5 英雄崇拝の思想
剣戦士のイデア
日本は剣・朝鮮は矛
英雄の中にアイデンティティを見いだす
第四章 倭軍の誕生--「経済戦争」としての対外戦争
1 ポリス的古代社会=「倭」
共和制ポリス郡と専制帝国
よく似ているギリシアと日本列島
古代国家の形態を戦争スタイルからみる
2 卑弥呼登場
妥協の産物、女王卑弥呼
卑弥呼対狗奴国
「親魏倭王」の墓造り
ポスト卑弥呼の争い
3 せめぎ合う英雄たち--巨大古墳の時代
古墳はどのようにひろまったか
武威と生産の鉄まつり
空白の一○○年間
倭王勢力の拡大
宗教に埋め込まれた「物資流通システム」
4 渡海する英雄たち
武装の進歩
鉄よろいをまとう英雄
倭人集団の渡海
大規模な戦いは少なかった
5 倭軍の誕生
倭--百済軍事同盟の成立
甲冑の量産体制
ヤリから大刀へ
倭軍のスタイル=倭人としての自覚
6 倭軍、敗れる
倭軍は傭兵
防衛無視はこの時代から
倭の歩兵戦闘VS高句麗の騎馬戦隊
歩兵装備のリニューアル
7 倭王と将軍たち--連合王権「倭」
安東将軍、倭国王
王陵区の整備
近畿以外にも林立する王陵区
倭軍は自在な戦士団
倭軍とギリシア軍
日本の軍事的原型
英雄全盛の時代
第五章 英雄から貴族へ--古代国家の形成
1 さまざまな武力の形
その後のギリシア
軍事力の配分パターン
2 もはや「原始」ではない
五世紀の倭と朝鮮半島
生活と産業の革命
3 変質する英雄
色あせる英雄
英雄から貴族へ
馬上の貴族
薄れゆく連帯感
4 磐井の戦争
倭王と大貴族の思惑
磐井の立場
磐井立つ
磐井の戦争がもたらしたもの
統一的権力はなかった
5 政治的戦争への転化
武装する人々
刀を授ける行為
系列化される地方勢力
六世紀の倭軍
進軍はセレモニー
6 内乱と国際戦争
騎馬の普及
東国の騎馬兵力
「官軍敗れぬ--」白村江の戦い
「守り」のデモンストレーション--水城と山城
壬申の内乱
7 律令的軍隊の完成
武器副葬の終わり
軍団制とその実像
私兵の世界へ
変質する戦争--日本型軍事的原型の誕生
第六章 国の形、武力の形--古代から中世へ
1 古代日本の軍事力の特質
専制国家に至らなかっった古代日本の軍隊
公の軍事力、私の軍事力
2 武士の登場
古代騎兵から武士へ
考古学からみた武士の戦い
格闘戦から集団戦へ
集団戦成立の背景
3 日本列島の軍事革命と社会変化
第一次軍事革命--騎馬の受容
第二次軍事革命--戦国集団戦の成立
4 日本の軍事的特質
飾られた武器の系譜
変化に乏しい実用武器
城のない古墳時代
人間を盾に
政治的割拠と中世の城
5 与えられた統一--征服戦争の欠如、外敵の不在
島国という条件
島国ゆえの分裂性
国土統一戦争はなかった
防壁に囲まれた平穏な世界
外敵なき国家軍
日本的軍事の基調
頑迷なまでに理念先行
保守性は日本軍の「伝統」
歴史が培った日本人の戦争特性
第七章 戦争はなくせるか--考古・歴史学からの提言
1 戦争抑止の二つの鍵
人口増加と資源・環境--戦争抑止の第一の鍵
戦争についての意識と思想--戦争抑止の第二の鍵
2 遠いけど着実な足どりで--戦争抑止への道
利得交歓システムとしての戦争
アジア太平洋戦争における「国民的利得」
階級史観から個人の視点へ
戦争は意識と思想の産物
戦争は本能によって起こるのではない
ボーダーレスと民族主義と
私たちの前の二つの道
参考文献
あとがき
索引
[講談社のサイトへ]
|